プログまもる会日記
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認知症男性電車事故訴訟 最高裁判決から

認知症の男性が電車にはねられ死亡した事故をめぐりJRが損害賠償を家族に求めた最高裁の裁判で、家族に賠償責任はないという判決が出ました。裁判長は「監督義務については同居しているかどうかや介護の実態、財産の管理など日常的なかかわりがどの程度であったのかといった生活の状況などを総合的に考慮するべき」という考えを示し、「今回は妻は高齢者で介護が必要なうえ、長男も仕事の為離れて暮らしていたなどから監督をすることが可能な状況ではなかった」と指摘して、家族の監督義務や賠償責任は認めない判決を言い渡している。
これは、認知症の方と一緒に暮らす方たちにとっては、一律に監督義務認める判決でなくて良かったと安堵できた判決かもしれません。しかし、一方で今回の判決は、監督義務に当るかどうかの考え方を新しく示した内容であり、もしかしたら監督義務、賠償責任が私の場合はありと判断されるかも?と不安を持った方もいたと思う。
徘徊の可能性のある方を自宅で見守るのは大変で、その心労を推察するに大変なことだと思う。目を離したほんの少しの隙で行方不明ということはいつでも起こりうることである。訴訟になって、自宅で一緒に暮らしていこうと日々頑張っている家族に、「総合的にみた結果、あなたのケースは監督義務あるから賠償責任あり」と判決が言い渡される可能性を思うと、この仕事に携わっている者として、とてもさみしい気がしてならない。「介護や生活の実態を総合的に判断する」ことにとても慎重な考慮が求められると感じた。
国は「新オレンジプラン」という認知症の医療と介護の5年計画を策定している。認知症の人が住み慣れた地域で暮らし続けることができるよう認知症の人を支える医療と介護の充実を図ろうとした内容である。今回の判決でみんなで支える仕組み作りの難しさの一部に気づかされた。このプランが絵に描いた餅とならないように、とにかく認知症の方やその家族の視点を政策にもっと反映させることが必要だとつくづく感じた次第である。
写真は誕生日会で食べた、手作りの「もちもちチョコドーナツ」
「職員のみなさん面白いメニュー毎月考えてアイデア満載だなあ」と利用者さんも関心しきり
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権利擁護の研修レポート

1日目)
・講義 身体拘束認識のための基礎知識
・講義 身体拘束と虐待・・・認知症高齢者の理解に基づいた支援の在り方
・演習 認知症ケアの事例演習
2日目)
・演習 あなたが思う身体拘束とは
・演習 自施設での実態把握と分析
・演習 実習課題の設定・・・取り組みを具体化しよう
3日目)
・演習 各施設での身体拘束廃止に向けた取り組み結果の発表
「講義のほかは、6人1組のグループワークが主でした。自分の勤務する施設での虐待・身体拘束に係る課題を抽出した後、メンバーがその後1月間その課題に向けた取り組みを実践し、結果をみんなで共有して意見を出し合もので、他の施設の方とディスカッションでき、とても刺激になった研修でした。
研修に参加していたメンバーの所属は私と同じ老人保健施設だけでなく、有料老人ホーム、特養、グループホームの方と様々でした。私も含めどのメンバーも忙しいからと「ちょっと待ってください」「危ないから動かないでください」と、忙しいから、ついついスピーチロックしてしまうという悩みを持っていました。
私は、課題とする自分の事例として、日ごろから何度も繰り返し職員を呼ぶ入所者で「ちょっと待ってください」とついスピーチロックをされがちな1名を選び、職場の同僚と意識の統一を図り、情報を共有して課題解決できるように取り組んでみました。
最初は、職員が入所者一人ひとりに十分にかかわる時間を確保できないことが、職員の焦りを生み、それが虐待などにつながる危険を持つという理解をしていました。しかし、そればかりを理由にしてしまうと問題は解決しません。今回、自分の同僚と課題に取り組んでみる中で、職員一人ひとりがもっと入所者とかかわりを持とうと常に意識していれば、日々忙しい中でももう少し時間を増やすことができることがわかりました。
また、無意識にしてしまっている言葉の拘束をなくすためには自分の介護の振り返りとしてチェックシートやアンケートの活用も有効と感じたので、職場の中でも実施してみたいと考えました。
このたびは、貴重な研修の場をいただき、ありがとうございました。」
研修でいい刺激になったようですね。職場に持ち帰ってチームで取り組み出来たことの成果は大きいと思います。これからもがんばって!!
写真は、このあいだの誕生会の時のおやつの手作りぜんざいです。甘さ控えめにしないでほしい? もちろんリクエストにお答えしましたよ。
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なくならない悲しいニュース
週刊誌週刊ポスト(9月4日号)にとても悲しい記事が掲載されていた。
老老介護殺人の判決を伝える記事だが、読むと情状酌量された判決であり、またなんとも切なくなる事件で・・・・。私たち介護にたずさわる者としては、もしかしたら、このような事態が今近くで起きているかもしれないという緊張感をもって、地域に根差していかなければならないと考えさせられる。
7月8日、千葉地裁で「懲役3年、執行猶予5年」と下された判決は、宮本浩二・被告(仮名・93歳)が当時83歳の妻に対する「嘱託殺人未遂(妻の死亡後、嘱託殺人に訴因変更)」に関するものだった。昨年11月8日、痛み止めの薬も効かず苦しむ妻を見かねて夫が手をかけたのだが、死ぬ間際まで夫妻は仲睦まじかった。
太平洋戦争で南方戦線に従軍した経験を持つ宮本被告は終戦後、都内で靴職人として働き始める。妻と出会ったのは当時の職場だった。1952年に結婚、3人の子供にも恵まれた。悲劇の現場となった自宅には20数年前に移り住み、近年は夫婦2人きりで生活していた。
近隣住民は仲睦まじい2人の姿をたびたび目にしていた。
「定年後も旦那さんは警備員の仕事などを続けていた。少し前までは庭の手入れをしたり、知人に借りた畑で野菜を作ったりと、寡黙だけど精力的に働いていました。一方の奥さんは、スーパーで会うと、『元気? 会えて良かったわ』なんて明るく声を掛けてくれる朗らかで上品な佇まいの人でした。寄り添いながら2人で仲良く歩いている姿をよく見かけました」(近隣女性)
妻にとって宮本被告は「自慢の夫」だったという。近くで定期的に開かれる障害者団体主催のバザーに欠かさず顔を出していた夫のことを「うちの人は本当に優しい」と満面の笑みを浮かべながら話す姿を複数の住民が覚えている。
そんな2人の生活が一変したのは約2年前、妻の足腰の衰えが顕著になってからだった。以降、妻の姿を目にした住民はほとんどいない。
「事件が起きて初めて旦那さんが介護に追われていたことを知った。奥さんの姿を見なくなってから、旦那さんが1人で自転車に乗ってスーパーへ買い物に行く姿が目立つようになったので不思議に思っていたのですが……」(近隣男性)
公判では、妻が介護サービスを受けるのを嫌がっていたという証言もあったが、その真意を事件前、妻は友人にこう話していた。
「私より助けが必要な人がいるはず」
事件当日、廊下で転倒した妻から「もう痛みに耐えられない。何もできない、苦しいだけ。殺してほしい」と懇願された。
“もう断われない”──。
宮本被告は決心した。その日の夜、妻に添い寝をした。出会った頃に遡り、新婚生活、子供が生まれた時のことなど、楽しかった思い出を妻に語り続けた。その時の様子を宮本被告は公判でこう語っている。
「妻はニコニコしていた。とても綺麗だった」
60年分の思い出話を語り終えた後、被告はネクタイを手に取った──。
検察から懲役5年を求刑された時にはこう答えた。
「私がしっかりした男だったら(もっと)上手な対応を取ったと思う。今でも妻を愛しています」
判決後、裁判官は被告に優しく語りかけた。
「奥さんが悲しまないよう、穏やかな日々をお過ごしになることを願っています」
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手作りの梅干作り
梅は地元の南高梅を使用。大きな樽に仕込んでいきました。
買った梅干もいけど、手作りで漬けた梅干のほうがおいしいからね。
毎年、手間がかかって大変だけど、青海山荘の梅干、味を継承していってね、栄養士さん!!
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幸せ地蔵
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